以下のような256個の16進2桁の数値を一覧表示したい、とする。
00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 0A 0B 0C 0D 0E 0F 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 1A 1B 1C 1D 1E 1F 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 2A 2B 2C 2D 2E 2F 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 3A 3B 3C 3D 3E 3F 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 4A 4B 4C 4D 4E 4F 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 5A 5B 5C 5D 5E 5F 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 6A 6B 6C 6D 6E 6F 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 7A 7B 7C 7D 7E 7F 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 8A 8B 8C 8D 8E 8F 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 9A 9B 9C 9D 9E 9F A0 A1 A2 A3 A4 A5 A6 A7 A8 A9 AA AB AC AD AE AF B0 B1 B2 B3 B4 B5 B6 B7 B8 B9 BA BB BC BD BE BF C0 C1 C2 C3 C4 C5 C6 C7 C8 C9 CA CB CC CD CE CF D0 D1 D2 D3 D4 D5 D6 D7 D8 D9 DA DB DC DD DE DF E0 E1 E2 E3 E4 E5 E6 E7 E8 E9 EA EB EC ED EE EF F0 F1 F2 F3 F4 F5 F6 F7 F8 F9 FA FB FC FD FE FF
スクリプトで書く
馬鹿丁寧にスクリプトを書くなら、以下のようなカンジになるだろうか。
#!/usr/bin/perl use strict; use warnings; my @a = (0..9, 'A'..'F'); for my $i (@a) { for my $j (@a) { print "$i$j "; } print "\n"; }
敢えて文字列として処理してみている。数値を"%02X"で表現する方法もあるだろうけど。
各行の末尾にもスペースが入ってしまうのが気になったら、map関数なんかを使って
#!/usr/bin/perl use strict; use warnings; my @a = (0..9, 'A'..'F'); for my $i (@a) { print join(" ", map { "$i$_" } @a), "\n"; }
とやるとキレイに表示できるんではないだろうか。
ワンライナーにしてみる
…と、ここまで短くなるとワンライナーにできそうな気がしますね。
単純に繋げてみると
$ perl -e 'my @a = (0..9, 'A'..'F'); for my $i (@a) { print join(" ", map { "$i$_" } @a), "\n"; }'
と。
ここから削る作業。
改行はコマンドラインスイッチ"-l"に任せよう
$ perl -le 'my @a = (0..9, 'A'..'F'); for my $i (@a) { print join(" ", map { "$i$_" } @a); }'
myは無くても大丈夫そうなので取り除いてしまおう
$ perl -le '@a = (0..9, 'A'..'F'); for $i (@a) { print join(" ", map { "$i$_" } @a); }'
@aへの代入は使うときに代入と同時に評価してもらうことにしよう
$ perl -le 'for $i (@a = (0..9, 'A'..'F')) { print join(" ", map { "$i$_" } @a); }'
やっぱり行末のスペースは気にしないことにしてjoinを使うのをやめよう
$ perl -le 'for $i (@a = (0..9, 'A'..'F')) { print map { "$i$_ " } @a; }'
map関数の第1引数の書式を変更しよう
$ perl -le 'for $i (@a = (0..9, 'A'..'F')) { print map "$i$_ ", @a; }'
さらに無くても大丈夫なクォートやセミコロンを削除しよう
$ perl -le 'for $i (@a = (0..9, A..F)) { print map "$i$_ ", @a }'
あとはスペースを詰めてしまえば
$ perl -le'for$i(@a=(0..9,A..F)){print map"$i$_ ",@a}'
と、素敵なワンライナーの出来上がりです。
for文を後置して使いたい
個人的な好みとして、ワンライナー中のfor文は式修飾子を使って後置の形で使いたい。
for $i (配列) { 処理; }
ではなく、
処理 for (配列)
と。
ただし、今回の場合ここで1つ問題がある。
式修飾子でfor文を回す場合、処理の中でのデフォルト変数が必ず'$_'になってしまう。
今回の問題はfor文の中でmap関数を使っていて、その中でもデフォルト変数'$_'を使うので、名前が衝突していてmap関数内で$_が上書きされてしまう。
ということはfor文内の処理の中でmap関数に入る前に他の名前の変数に$_を代入してやる必要がありそうだ。
とは言えセミコロンで区切ってしまうとまったく別の文としてfor文と分けられてしまう。
そんなときは普通、'and'や'&&'を使って文を繋げたりする。
$ perl -le'$i=$_ and print map"$i$_ ",@a for@a=(0..9,A..F)'
と、こんな具合に。
- $i に $_ を代入
- map関数で @a の各要素を$iに付け足した文字列を生成
という2つの動作をfor文の毎回のループ中で行うことになる。
…が。ここで実行結果をみてみると、正しく表示されないことに気付く。。
$ perl -le'$i=$_ and print map"$i$_ ",@a for@a=(0..9,A..F)' 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 1A 1B 1C 1D 1E 1F 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 2A 2B 2C 2D 2E 2F 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 3A 3B 3C 3D 3E 3F 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 4A 4B 4C 4D 4E 4F 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 5A 5B 5C 5D 5E 5F 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 6A 6B 6C 6D 6E 6F 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 7A 7B 7C 7D 7E 7F 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 8A 8B 8C 8D 8E 8F 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 9A 9B 9C 9D 9E 9F A0 A1 A2 A3 A4 A5 A6 A7 A8 A9 AA AB AC AD AE AF B0 B1 B2 B3 B4 B5 B6 B7 B8 B9 BA BB BC BD BE BF C0 C1 C2 C3 C4 C5 C6 C7 C8 C9 CA CB CC CD CE CF D0 D1 D2 D3 D4 D5 D6 D7 D8 D9 DA DB DC DD DE DF E0 E1 E2 E3 E4 E5 E6 E7 E8 E9 EA EB EC ED EE EF F0 F1 F2 F3 F4 F5 F6 F7 F8 F9 FA FB FC FD FE FF
なんと、最初の段(00〜0F)が消えているではないか。
何故かというと、($i=$_)の評価の結果が偽になってしまうとその後の'print map"$i$_ ",@a'が実行されないから。
$i = $_
という代入式は、代入された値そのものが評価される。1が代入されていれば1に、2が代入されていれば2に。
従って、0を代入した場合は0に、すなわちPerlでのFalseになってしまう。
ということで、このような代入処理を他の処理と繋げたい場合、安易に'and'や'&&'を使ってはいけない。
必ず次の処理に移って欲しい、という場合は代入結果にかかわらず確実に真値が'and'に渡るようにする必要がある。
例えば
$ perl -le'($i=$_)||1 and print map"$i$_ ",@a for@a=(0..9,A..F)'
と、より優先順位の高い論理演算から真値を返すよう誘導したり、
$ perl -le'($i=$_)?1:1 and print map"$i$_ ",@a for@a=(0..9,A..F)'
と、三項演算子で両方真値になるよう仕組んでみたり。
結論
ややこしい代入が必要ならfor文は後置せずに使った方がよい。
$ perl -le'for$i(@a=(0..9,A..F)){print map"$i$_ ",@a}'
結局これがベストだと思う。
追記
id:kazuhookuさんからブクマコメントとトラックバックをいただいた。ありがとうございます!
はてなブックマーク - 16進数のテーブルを表示するワンライナーを考える - すぎゃーんメモ
xor 使えばいいんじゃないか
なるほど…!!
論理和は左辺が偽値のときに右辺が評価され、論理積は左辺が真値のときに右辺が評価される。
排他的論理和の場合は…必ず左辺も右辺も評価される、のかな?
とにかく、排他的論理和xorを使えば、左辺の評価結果がどうあれ確実に次の処理に進めるらしい。
for文を後置させる場合は以下のように書けばよりすっきりしますね。
$ perl -le'($i=$_)^print map"$i$_ ",@a for@a=(0..9,A..F)'
そしてトラックバック。
perl -e'printf"%02X%c",$_,$_+1&15?32:10for 0..255'と書いた方が2バイト短いかなと思いました。まだ縮むんだろうなぁ。
perl golf - kazuhoのメモ置き場
なるほど…!
最初に数値からの"%02X"への変換を考えたときに、どうやって16個ずつで区切って改行したものかと思い悩み断念したのですが、そうやって条件分岐させてスペースと改行を書き分ければ良かったんですね。
while文を使ってみたらどうなるかな、と試してみましたが、結局1バイト長くなってしまいました。
perl -e'printf"%02X%s",$x++,$x&15?$":$/while$x<256'
追々々記
さらにブクマコメントいただいた!id:yzxさん、ありがとうございます ><
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($i=$_)^printは$i=$_,printでいいんじゃないの
全然気がつきませんでした orz
カンマで区切れば代入もその後の処理も実行されるんですね。。。
というわけでfor文を後置させる場合はこれで。
perl -le'$i=$_,print map"$i$_ ",@a for@a=(0..9,A..F)'
ちょっと変な配列名にしてしまえばもう1バイト詰められる。
perl -le'$i=$_,print map"$i$_ ",@!for@!=(0..9,A..F)'
こうなれば通常のfor文を使う場合と長さは一緒だ!
追々々々記
長くなり過ぎたので別エントリでまとめました。
16進数のテーブルを表示するワンライナーを考える まとめ - すぎゃーんメモ